Hello, Cuppa Time アンジェラです。
前回の記事で、英国人に人気のビスケットTOP10をご紹介したのですが、中でもチョコレートビスケットが大人気でした。
チョコレートも大好きな英国人ですが、実はおやつの時間はビスケット、そしてランチの時間はチョコレートというのが一般的なのはご存じでしょうか?
昼食に必ずチョコレートを食べるなんてあまり健康に良くなさそうですが、実は“健康のために”チョコレートを食べるようになったという歴史が背景にありました。
英国のランチ
英国では、お弁当のことを「packed lunch」といいます。
その名の通り「パックされたランチ」、自宅で「詰め(て持ってき)た昼食」ということです。
会社の同僚や子ども達のpacked lunchを見てみると、最も一般的なpacked lunchの中身はこの通りです。
- sandwich サンドイッチ
- apple りんご
- chocolate bar チョコレートバー
- crisps ポテトチップス
- juice ジュース
サンドイッチ
サンドイッチは、ハムやチーズ、ツナマヨやBLTのような一般的なものから、チキンサラダやhummus(フムス:ひよこ豆のディップ)などヘルシーな人もいますが、ジャムやチョコレートスプレッドの人もいます。
りんご
それから、りんごを1個。イギリスで売られているりんごは小ぶりなので皮ごと1個をかじります。りんごの代わりにオレンジだったりバナナだったりもしますが、王道はりんごです。
かわいいウサギりんごや飾り切りにしている人は見たことがありません(日本でお弁当を作っているみなさま、お疲れ様です。)
チョコレートバー
そして、ランチボックスに欠かせないのが、「chocolate bar」略して「choc bar(チョキバー)」です。
packed lunch
例えば、こちらの新聞記事の写真が、典型的な英国のpacked lunchです。
砂糖の多さが、(子どもの)肥満問題につながっているのではないかと取り上げられていました。
チョキバー
とはいっても、ランチのマストアイテムは「choc bar チョキバー」です。
英国人の同僚はいつも昼休みに
Chocolate is made from plants so it’s my vege.
チョコレートは植物由来だから野菜枠
と言ってチョキバーを食べています。
反対側に座る同僚は
Yes, it’s my 1 of 5 a day
そう、僕の1日に5皿の一つだよ
と答えていますが、もちろん、チョコレートは野菜としてカウントされません。
このランチなどにもっていくのにちょうど良いサイズのチョコレート菓子を「chocolate bar」略して「choc bar」と呼びます。
英国人がチョコレート好きなのは間違いありません。
ですが、単純においしいからというだけではなく、実はキャドバリー社がすすめた「“健康のための”チョコレート」キャンペーンが大成功したため、「チョコレートを食べて元気に働く」時代の名残が根強く残っているのです。
キャドバリーの歴史
現在でも英国でチョコレートの売り上げナンバー1を誇るキャドバリー社は、1824年、バーミンガムの小さな店舗から始まりました。
ジョン・キャドバリーは、クエーカー教徒でしたので、アルコールに代わる健康な飲み物として、紅茶、コーヒー、飲むチョコレートを販売していました。
その後、キャドバリーの商品は飲むチョコレートが16種類、ココアが11種類に増えていったそうですが、まだ飲み物を作るための塊や粉の形で販売されていました。
1847年にFry&Son’sがチョコレートを固形化することに成功し、チョコレートは飲み物から食べ物に変わっていきます(Fry&Son’sはのちの20世紀前半にはキャドバリーと合併しています)。
キャドバリー社は、1866年にオランダ・バンホーテンの機械を英国で初めて導入したことで、今日の成功につながりましたが、清貧と社会貢献をモットーとしていましたので、チョコレート商品も、都市の工場労働者の健康向上や貧困救済のために開発・生産していました。
なぜなら、当時の工場労働者は、機械を動かし続けるために、食事の時間も取れないまま仕事中にアルコールを飲むことでしのいでいました。当然、不摂生で貧しく、中毒になったり健康を害したりすることによる貧困問題が深刻でした。
そこでキャドバリーは、仕事中に手軽に摂ることが出来てエネルギー源になる“元気のもと”チョコレートを量産することで、労働者階級にも入手しやすい商品を販売し、貧困問題を解決しようとしたのです。
なお、当時のチョコレートには今ほど砂糖やミルクは入っておらず、チョコレートは苦くて本当に健康食品または薬のような位置づけだったようです。
また平等主義をうたう教義に忠実なキャドバリー家は、労働者のために、1893年からは自社の工場労働者が住むためのBournville村の開発も始めています。
産業革命以降の英国の都市は、工場からの煙にまみれて劣悪な環境にありました。
そこで、空気のきれいな街並み、庭のある家が立ち並ぶモデル村として、工場の隣の広大な土地を購入し、Bournvilleを発展させました。
キャドバリー社は、労働者の住環境だけでなく、従業員の年金制度や医療サービスなども初めて導入しています。
そんな訳で、街角に必ずパブの有る英国にあってBournville村にはパブは無かったそうですが、今でも、バーミンガム周辺で最も住みたい地域の一つとして人気です(今は、パブもあるそうです)。
Cuppa Timeにお付き合いいただき、ありがとうございました。
みなさまも、元気のもとチョコレートを食べて、良い一日を!
See you soon!
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